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研究費をクラウドファンディングで集めることの特徴と課題

ベンチャー企業などがインターネット経由で個人から資金を集める「クラウドファンディング」が注目されていますが、研究者もクラウドファンディングで研究費を集めることが増えてきました。研究費をクラウドファンディングで集めることの特徴と課題を紹介します。

専用のウェブサイトで募る

従来の研究費は、日本学術振興会の科学研究費補助金(科研費)に代表されるように、一部の専門家が申請書を審査して採択するか判断します。クラウドファンディングでは、必ずしも専門知識をもたない一般の人に資金提供を広く呼びかけます。そのため、研究内容を平易な言葉で説明し、いかに研究が魅力的なものであるかを示す必要があります。

クラウドファンディングで研究費を集める場合、基本的には専用のウェブサイトにその内容を掲載します。学術研究専門のクラウドファンディングの場として、海外ではexperiment(https://experiment.com)、日本ではacademist(https://academist-cf.com)が有名です。掲載費用は無料ですが、目標金額に達成したときには、得られた資金の一部をサイト利用料として支払います(experimentは8パーセント、academistは20パーセント)。

寄付とは異なり、リターンを用意する

一般から研究費を集める方法としては、これまでにも「寄付」があります。しかし、クラウドファンディングでは寄付と異なり、出資者にリターン(報酬)を提供する必要があります。報酬はさまざまで、オリジナルのグッズ(Tシャツやマグカップなど)、フィールドワークの招待や研究室見学、論文の謝辞掲載などがあります。

また、事前に設定した目標金額に達成しなければ資金は得られず、全額出資者に返金される点も、寄付と異なります。つまり「all or nothing」の意味合いが強いのがクラウドファンディングです。とはいえ、執筆時点でのacademistの目標金額達成率は約80パーセント(25/30)。科研費の新規採択率が約30パーセントであること(1)を考えれば、研究費を獲得できる確率は高いことが最大の利点でしょう。

デメリット

academistの研究内容を見ると、生態学を始めとする生物学、あるいは医学が約半分です。また、多くは目標金額を数十万円から100万円に設定しています。科研費で行うような大規模な研究よりも、その前段階となる装置の開発(または購入)や、フィールドワークのための渡航費用などが目立ちます。100万円を超えるような研究は、やはり科研費のような従来型の研究費調達が適しているでしょう。ただ、中には数百万円を調達できた医学研究もあるので、いかに魅力的にアピールするかが肝になります。

そのためには、科研費の申請書のようなテキスト中心ではなく、写真や動画も用意する必要があります。また、掲載したウェブページを知ってもらうためには、TwitterやFacebookなど、SNSの活用が欠かせません。こういったことに慣れていない研究者にとっては重荷になるのかもしれません。

また、特に医学においては、早く治療法を確立してほしいという出資者(患者)の要望が負担となり、拙速な成果が出てしまうのではないかと危惧する意見があります(2)。また、エビデンスがない医療行為(いわゆる民間療法)を促進する可能性すらあります(2)。クラウドファンディングのウェブサイト運営者には、研究内容の妥当性を見極める能力が求められそうです。

参考資料

(1) 独立行政法人日本学術振興会 科学研究費委員会 『平成27年度科研費の審査に係る総括』
(2) Wenner DM, Kimmelman J, London AJ (2015) Patient-Funded Trials: Opportunity or Liability? Cell Stem Cell 17 (2): pp. 135−137


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