「論文の書き方」ヒント:図の説明(Figure legend)の書き方と色の扱い
図の説明(Figure legend)は、「読者が図だけで内容を理解できるか」を左右する重要な要素です。導入(Introduction)や考察(Discussion)ほど注目されませんが、図が理解されなければ論文全体の説得力も下がってしまいます。今回は、読みやすく正確な legend の作り方と、国際誌で求められる色の使い方を整理します。
1. 図だけで内容がわかる “Self-contained” を徹底する
Figure legend は本文とは独立した説明文として扱われます。
そのため、図を見た読者が本文を読まずに概略を把握できることが必須です。
必ず盛り込みたい項目
• 何の図か(目的・比較内容)
• 研究デザインの一言(例:cross-sectional)
• 使用した指標・評価方法
• 統計手法(必要な範囲で)
• n の明記
• 略語の定義
✕:Figure 2. Study results ←何を示す図なのか不明
○:Figure 2. Association between physical frailty and self-reported fall history among community-dwelling older adults (n=205)
Frailty was assessed using the Japanese version of the CHS criteria. Bars represent mean ± SD. P values were derived from the Mann–Whitney U test. ←「誰を対象に」「何を比較して」「どの指標で評価し」「どんな統計で示したか」が一文でわかると非常に親切です。
2. Abbreviationの記載
図の説明文は独立した文章として扱われるため、本文で定義済みであっても、図ごとに略語の定義が必要です。
例:BMI, body mass index; OR, odds ratio; CI, confidence interval.
ポイント
• 必要最低限にとどめる
• 雑誌によっては「同じ略語でも図ごとに再定義」を求められる
• 非一般的な略語は極力避ける
3. 色覚バリアフリー(Color-blind–friendly)
国際誌では、色覚特性への配慮が強く求められます。
特に赤緑の識別は難しく、読者の約8%(欧米男性)が影響を受けるとされています。
(1)赤 × 緑は避ける(最も識別しにくい組み合わせです。)
避けたい組み合わせ:赤 × 茶、緑 × オレンジ
(2)色より “明るさの差” を意識
色相よりも輝度差の方が識別しやすくなります。
(3)色以外の要素で区別する
• ハッチング(斜線・ドット)
• 実線 / 点線 / 破線
• マーカー形状(○、■、▲)
• 塗りつぶし vs 枠線のみ
(4)青系統は比較的安全
• 濃青 / 薄青
• 黒 / 灰 / 青
• 青 × オレンジ(補色で見やすい)
(5)国際誌でよく用いられる推奨カラーパレット
Nature などで採用される CUD(Color Universal Design)系の配色:
• Blue (#0072B2)
• Sky blue (#56B4E9)
• Orange (#E69F00)
• Vermillion (#D55E00)
• Black (#000000)
図の説明、なんとなく書いていませんか?図のわかりやすさは、査読評価にも直結します。つみあげた研究成果の発表ですから、図の説明で損しないよう、留意しましょう!






