投稿アカデミー（10）論文タイプの違いと採択されやすくなる戦略— Original Article / Review / Brief Report / Technical Note —

欧米誌へ投稿するとき、自分の研究がどの論文タイプに最も「適合」するかを正しく選ぶことは、採択率に大きく影響します。一般的な4つの主要記事タイプを、構成・内容量・採択戦略の観点で整理します。

1. Original Article（原著論文）

概要

研究誌の中心となる形式。新しいデータを伴う研究で、「主要な学術的貢献」 が求められます。

構成（典型例）

• Abstract
• Introduction
• Methods
• Results
• Discussion（＋Limitations）
• Conclusions
• References
• Figures / Tables（複数）

内容量の目安

• Words：3,000–5,000語
• Tables/Figures：4–8点
• References：30–60本程度

採択されるためのポイント

1.明確な“ギャップ”と研究目的
欧米誌は「なぜこの研究が必要か」を非常に重視します。
2.方法の再現性と透明性
標準化された手法、統計の妥当性、倫理説明が必須。
3.Noveltyと“Journal Fit”
対象誌の最近2–3年に類似テーマがあるか要確認。

2. Review Article（総説）

概要

既存文献の総まとめ。
“その分野を整理し方向性を提示する”ことが目的。

構成（例）

• Introduction（レビューの必要性）
• Main Body（テーマ別のまとめ）
• Summary & Future Directions

内容量の目安

• Words：4,000–7,000語
• Figures：図解・概念図が歓迎される
• References：80–150本と多め

採択戦略

1.基本は「招待制（invited）」が多い。
ただし、最近は unsolicited review でも受理される誌も増加。
2.“この分野でレビューすべき時期である”ことを示す。
新規データが急増していたり、混乱があるとチャンス。
3.概念図（schematic figure）を必ず作ると評価が高い。

3. Brief Report（短報）

概要

短くまとまった新規性の高いデータ。
Original Article ほどのボリュームはないが、発見は重要というときに適合。

構成（例）

• Abstract
• Short Introduction
• Methods（簡潔に）
• Results（1–2図表）
• Brief Discussion

内容量の目安

• Words：1,000–2,000語
• Figures/Tables：1–2点
• References：15–25本

採択戦略

1.メッセージは単一で良い（“One key finding”）
2.新規性が高いが、まだデータ量が少ない研究に最適
3.“速報性”のあるテーマで有利（新手法、アウトブレイク、初報など）

4. Technical Note（技術ノート）

概要

新しい方法・装置・解析手法などを紹介する形式。
**「手技の改善」「効率化」「精度向上」**などがメイン。

構成（例）

• Background
• Description of the Technique（具体的プロトコール）
• Validation（簡単な検証）
• Limitations
• Practical Notes

内容量の目安

• Words：1,500–3,000語
• Figures：手技図・装置図など 2–4点

採択戦略

1.使用者が増える“実用性”が最大のアピールポイント
2.手順を再現できる詳細度が求められる
3.既存法より“何がどれだけ良いか”を明確に書く

まとめ

• Original Article：研究の“主戦場”。質の高さとNoveltyが鍵。
• Review：招待が多いが、準備すれば unsolicited でも可能。
• Brief Report：短くてもメッセージが強ければ採択されやすい。
• Technical Note：方法の改良や新規技術で力を発揮。