イギリス英語とアメリカ英語があるのはご存知だと思います。話す際の発音やアクセントも違いますが、単語、語法、冠詞や前置詞の使い方など、違う点があります。
一つの例ですが、アメリカ英語では常に、引用符のカッコの内側にピリオドをつけます。イギリスでも、カンマ/ピリオドが引用文に属している場合は後ろの引用符の中に、そうでない場合は外に出します。
例)She said to me, ‘You’re so kind.’
例)This study examines the ‘Bowen Ratio’.
主流はアメリカ英語
論文の場合、ほとんどの場合はアメリカ英語で書きますが、ヨーロッパに拠点を置くジャーナルのなかには、イギリス英語を選択肢に含めているところにあります。イギリス英語でと指定があれば、スペルチェックでイギリス英語を使用して、投稿前に、イギリス人Nativeを指定して英文校正を受けるのがよろしいかと思います。
スペルの違い
アメリカのスペルで論文を書くといっても固有名詞はイギリス英語のままです。
厚生労働省はMinistry of Health, Labour and Welfareとイギリスのスペルです。スペルチェックをする時にアメリカ英語になっているかと思いますが、こういう固有名詞は元の英語を使用する必要がありますので、Laborへと変更をしないように気をつけてください。
また、大学病院のホームページの英訳の依頼をうけることが多くあり、その時に気がついたのですが、病院の部署名(整形外科など)はイギリス英語をつかっているところが多いです。
なお、厚生労働統計調査名英訳名称一覧は下記のサイトに載っています。
厚生労働統計調査名英訳名称一覧
単語ってどう違うのかと興味のあるかたのために幾らかを記載しておきます。
cancelという単語はイギリス英語でもアメリカ英語でも同じですが過去形になるとイギリス英語ではcancelledとlが2つになります。一般的に、l(エル)で終わる単語は過去形になると「l」をもう一つ入れるようです。同様に、アメリカ英語ではtravelerですが、イギリスではtravellerになります。
ae/oe ギリシャ語がルーツの単語の例(医学英語に多いです)
イギリス英語 | アメリカ英語 |
anaemia | anemia |
anaesthesia | anesthesia |
caesium | cesium |
diarrhea | diarrhea |
encyclopaedia | encyclopedia |
faeces | feces |
foetal | fetal |
gynaecology | gynecology |
haemophilia | hemophilia |
leukaemia | leukemia |
oesophagus | esophagus |
oestrogen | estrogen |
orthopaedic | orthopedic |
palaeontology | paleontology |
paediatric | pediatric |
単語の最後の「our」の音節にアクセントがなければ、アメリカ英語のスペルは「u」を抜きます。
イギリス英語 | アメリカ英語 |
colour | color |
honour | honor |
humour | humor |
labour | labor |
~re/erの語尾
イギリス英語 | アメリカ英語 |
centre | center |
fibre | fiber |
theatre | theater |
~yse/yzeの語尾
イギリス英語 | アメリカ英語 |
analyse | analyze |
catalyse | catalyze |
hydrolyse | hydrolyze |
paralyse | paralyze |