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医学論文に使える英語表現を見つけるためのGoogle検索フレーズ①イントロダクション

この記事では、医学分野の論文の「イントロダクション」を英語で執筆する際に役立つ検索フレーズをご紹介します。
論文でよく用いられる英文のフレーズを引用符(” “)で括っているので、そのままコピーしてGoogleやGoogle Scholarで検索できます。ヒット数が少ない場合は、フレーズを分割して再検索したり、アスタリスク(*)を用いたワイルドカード検索を併用したりするのもおすすめです。

「不明である/まだ解明されていない」の検索フレーズ

イントロダクションにおいて、過去の研究ではまだ解明されていないことについて言及する場合のフレーズ例です。アスタリスク(*)を用いた以下のフレーズでGoogle検索すると、さまざまな疾患や症候群について「まだ解明されていない」ことを表現する際のフレーズを見つけることができます。
“The underlying mechanism of * is unknown”
“The underlying mechanism of * is unclear”
“The underlying mechanism of * remains unknown”
“The underlying mechanism of * remains to be elucidated”
“The underlying mechanism of * has not been elucidated”
“The true nature of * is unknown”
“The nature of * is unknown”

また、「○○という病気についてはまだよく解明されていない」という主旨の文章を書くことも多いと思います。以下のフレーズの主語(S)の部分に疾患や症候群の名称を挿入してGoogle検索すると、表現のバリエーションを見つけられます。
“S is not well understood”
“S is not fully understood”
“S has not been * elucidated”

「~かどうか不明である」というニュアンスの文章の参考にしたいときは、以下のようなフレーズで検索してみましょう。
“It remains to be elucidated”
“It is yet to be elucidated whether”
“It is yet to be clarified whether”
“It has not been elucidated”
“It remains unknown whether”
“It is not clear whether”
“It is not known whether”

医学分野の論文には、「発病機序は不明である」という表現も少なくありません。以下のフレーズで検索して、表現のバリエーションの参考にしてください。
“Much of the pathogenesis of * remains unknown”
“The pathogenesis of * is largely unknown”

「まだ研究が十分に行われていない/諸説ある」の検索フレーズ

まだ研究が十分に行われていないことを表現したい場合は、以下のフレーズが参考になります。アスタリスク(*)を用いることで、extensively, thoroughly, adequately, fully などの副詞のバリエーションを見つけられます。
“has not been * studied”
“has not been * investigated”

過去の研究で主張が分かれているときや、未だコンセンサスが得られていないときに使える表現を探すには、以下のフレーズで検索します。
“No consensus has been reached”
“There is no consensus”
“has been controversial”
“remains controversial”
“Opinion is divided as to”
参考にした論文の著者や研究を行った人物、あるいは団体・会議などを主語にして書き始めたい場合は、主語(S)の位置にその名称を挿入して検索してみましょう。
“S provide a consensus”
“the authors provide a consensus”

過去の研究でさまざまな説が提唱されている場合は、以下のフレーズが使えます。
“Various theories have been”
さらに、そのなかで特に有力な説がある場合は、「~という意見が有力である」という次のフレーズも役立ちます。
“The prevailing view is that”
“The dominant view is that”
“The predominant view is that”

「明らかになっている」など先行研究に関する検索フレーズ

イントロダクションにおいて、先行研究ですでに明らかになったことについて書くときに役立つ検索フレーズを紹介します。
“To date, it has been shown that”
“Studies have shown that”

また、自分の研究分野を主語にして書き始めるのもおすすめです。例として、「免疫組織化学的研究によって、~が明らかになっている」という表現について動詞のバリエーションを調べるときの検索フレーズをご紹介します。
“Immunohistochemical studies have * that”
冒頭にあるImmunohistochemical(免疫組織化学)の部分を自身の研究分野に置き換えて検索してみましょう。さらに、Recent(最近の)に置き換えた以下のフレーズで検索することも、表現のバリエーションの参考になります。
“Recent studies have * that”
これらのフレーズで検索すると、アスタリスクの部分にshown, demonstrated, revealed, suggested, indicated, found,などの動詞が含まれる例文がヒットします。

同様に、「最近の〇〇の進歩によって~が可能になった」という表現にも、さまざまな動詞のバリエーションがあります。以下のフレーズで検索すると、haveに続く動詞の部分にallowed, enabled, facilitated, increased, demonstrated, resulted in, provided,などが含まれる例文がヒットします。
“Recent advances in * have”

「最近~が報告されている」という表現の参考になる検索フレーズをご紹介します。
“It has recently been reported that”
“It has recently been shown that”
“Recently, it has been reported that”
“In recent years, it has been reported”
“Recent studies have reported that”
“Recent studies have shown that”

続いて、「~に対する認識が高まってきている」という表現の検索フレーズです。
“There has been increasing recognition of”
increasing の部分をアスタリスクにして検索すると、glowingなどの表現のバリエーションを見つけることもできます。
“There has been * recognition of”

「先行研究はまだない」場合の検索フレーズ

先行研究がない分野や研究はされているがまだ少ない分野について執筆する際は、以下のようなフレーズで検索すると、イントロダクションに役立つフレーズが見つかります。
“Very few studies have focused on”
“A limited number of studies have reported on”
“Little has been reported”
“Few studies have reported”

「我々が検索した範囲では~は見当たらない」または「我々が検索した範囲では、わずか~の報告しか見当たらなかった」などの表現を探したいときは、以下のフレーズが役立ちます。また、主語の「Our search」を単に「search」に変えて検索すると、他にどのような不定冠詞が使えるかもわかります。
“Our search of the literature”

論文および研究の目的に関する検索フレーズ

イントロダクションでは、論文および研究の目的を明確に記述する必要があります。以下のフレーズで検索すると、「本研究で我々は~した/本研究の目的は~することである」と記述したいときの動詞のバリエーション(例えば、investigated, examined, analyzed, explored)を見つけられます。
“In this study, we”
さらに、以下のアスタリスク検索を活用することで、「目的」に当たる語彙としてpurpose のほかによく用いられている語句も見つけることができます。
“The * of this study was to”

「~の有用性を調査する」や「~の有用性を評価する」という表現は、以下のフレーズで検索すると参考になる例文が見つかります。
“to investigate the usefulness of”
“to examine the usefulness of”
“to assess the usefulness of”
“to evaluate the usefulness of”
“To evaluate the * of”
最後に挙げた例文のように、usefulness(有用性)の部分をアスタリスク(*)に変えて検索すると、importance, efficacy, effectiveness, feasibility, effects, usefulness, impact, carcinogenic potential, suitability, applicability, adequacy などのバリエーションが使えることが分かります。自分の書きたい文脈に合わせて表現を選択しましょう。

「~の観点から、我々は~した」や「~に着目して~した」のように、着目したポイントや観点について明らかにしたいときは、以下のフレーズで検索するのがおすすめです。
“From this point of view, we”
“In this light, we”
“In light of”
“We focused on * and performed”
“We focused our attention on * and”
“Focusing on * we performed”

その他、医学論文のイントロダクションによくある検索フレーズ

最後に、医学論文によく用いられるその他のフレーズをご紹介します。これらのフレーズをGoogleやGoogle Scholarで検索し、イントロダクションの表現のバリエーションを広げましょう。

「文献的考察を加えて報告する」
“We report a case of * with a review of the literature”
“We report a case of * and review the literature”

「本稿では~について概説する」
“This paper outlines”
“This paper summarizes”

「~を標的とする薬剤には~がある」
“Drugs targeting * include”

「~の臨床第~相試験が進行中である」
“a phase * clinical trial is ongoing”
“a phase * clinical trial of * is in progress”

「~に対する治療の選択肢が広がっている」
“treatment options for * have expanded”
“therapeutic options for * have expanded”

「~を初発症状とする*の1例」
“a case of * initially presenting with”

「1手術例、1剖検例」
“a surgical case of”
“a case of surgery for”
“an autopsy case of”

「医療関連死」
“treatment-related death”
“therapy-related death”
“the number of treatment-related deaths”
“therapeutic death”

「~番目に多い死因」(アスタリスクに序数詞を入れる)
“the * most common cause of death”
“the * most frequent cause of death”

「~に好発する」(forの後に、部位や年齢などの表現が多い)
“has a predilection for”

「好発部位」
“The predilection site of * is”
“The predilection site for * is”

「広く普及している」
“has gained widespread popularity”
“has gained widespread acceptance”
“has diffused widely”
“has been widely used”
“has been in widespread use”

「診断に苦慮する」
主語(S)の位置に、病名や症状、所見を示す単語を挿入して検索します。動詞のpresentをposeに変えて検索するのもおすすめです。
“S presented diagnostic difficulties”
“S presented a diagnostic”(difficulty, challenge, dilemmaなどが続く例文が見つかる)

医学論文の「イントロダクション」に役立つ検索フレーズは以上です。引用符(” “)やアスタリスク(*)を用いたGoogle検索法の詳細は、以下の記事もご参考ください。

英語論文の執筆に役立つGoogle検索法
Google検索を使いこなして英語で医学論文を書く

参考文献

医学英語論文の作成に特化した Google 検索法

  • 英文校正
  • 英訳
  • 和訳
※価格は税抜き表記になります