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ChatGPTの概要と特徴、論文執筆への活用方法について

近年、自然言語処理技術や人工知能(AI)技術はめざましく進化しています。なかでも2022年11月にリリースされたChatGPTは、チャット形式でテキスト生成ができ、指示の理解力や文章生成能力も高いとして注目を集めています。ChatGPTはただ文章を生成するだけでなく、適切な指示を入力すればリサーチや要約作成などさまざまなタスクにも対応できるため、論文執筆にも活用できます。この記事では、ChatGPTの基本的な使い方と、論文執筆に活用する方法をご紹介します。

ChatGPTの概要と特徴

ChatGPTは、GPT-3という自然言語処理モデルを用いた対話型のチャットボットです。インターネット上の情報やさまざまな文章を学習したAIが、入力された指示(プロンプト)に対して文章を生成したり、質問に回答したり、さまざまなタスクをサポートしたりします。
開発したのは、イーロン・マスクやサム・アルトマンらによって2015年に設立されたOpenAIという人工知能研究所です。2022年11月にリリースされた後もユーザーからのフィードバックを反映しながら改善を続けています。2023年3月にはGPT-3の後継モデルであるGPT-4のリリースが発表されており、AIツールとしてますます進化しています。

ChatGPTの特徴として、主に以下の3つが挙げられます。

1.対話型(チャット型)のインターフェース

テキストを入力するとテキストで回答が表示される、チャット型のインターフェースが採用されています。人間を相手にテキストコミュニケーションを取るような形で、自然に対話できるのが特徴です。ソフトウェア間で情報をやりとりするためのAPIも提供されており、音声認識ソフトや読み上げソフト、表計算ソフトなどを連動させることも可能です。

2.膨大な機械学習に基づく幅広い応用可能性

膨大な情報を学習したAIがベースにあるので、複雑な語彙や表現を理解し、さまざまな質問形式や応答形式に対応することができます。一定の制限はありますが、専門分野も含めた幅広い情報を扱うことができ、物語やプロットなどのクリエイティブ活動のほか、リサーチやアイデア出し、コーディングなどさまざまな応用可能性があります。

3.フィードバックに基づく進化

ChatGPTは、ときには不正確な回答や誤った回答を生成することもあります。ユーザーのフィードバックからさらに学習して、言語モデルが改善され、より適切な回答ができるよう進化するのも特徴です。

ChatGPTにはまだ課題もありますが、さまざまなことに活用できる可能性があります。例えば、テーマや条件に沿う文章生成ができるので、物語を書いたり、広告コピーやそのアイデアを考えたりするときに使えます。また、プログラムのコード生成やバグの修正など、プログラミング分野での活用も期待できます。ビジネス分野に応用するなら、顧客からの問い合わせ内容に合わせた回答文を作成したり、リサーチやアイデア出しの自動化に役立てたりできるでしょう。後で詳しく解説しますが、論文のリサーチや文献収集、要約作成などに活用することもできます。

ChatGPTの使い方

ChatGPTの基本的な使い方を紹介します。機能や言語設定、料金については2023年4月現在の情報を記載しています。

1.ChatGPTにサインアップする

まずはChatGPT公式サイト(https://chat.openai.com/chat)にアクセスし、サインアップします。サインアップには、e-mailアドレス、GoogleアカウントもしくはMicrosoftアカウントが必要です。現在は調査プレビュー期間中であり、無料で使用することができます。

2.トップ画面が表示される

ログインすると、トップ画面に活用例(Examples)、機能(Capabilities)、制限事項(Limitations)が表示されます。その下にメッセージを入力する欄があり、左側にはメニューが表示されています。
ChatGPTのメニュー画面には言語設定機能はありませんが、日本語を含むさまざまな言語に対応しており、日本語で質問を入力して日本語で回答を得ることができます。メニュー画面を日本語にしたい場合は、ブラウザの拡張機能を利用しましょう。ただし、ブラウザの拡張機能で自動翻訳をONにしていると、回答として吐き出された文章に違和感が生じることがあります。自動翻訳を適宜切り替えるなど、注意してください。

3.質問や指示を入力する

メニュー画面下部にある「Send a message…」という欄に質問や指示を入力すると、回答が生成されます。回答は瞬時に表示されるのではなく、まるで人間が考えながら文章を打ち込んでいるかのように少しずつテキストが生成されていきます。適切な回答が得られない場合は、質問内容を工夫したり、回答形式を指定したりするとよいでしょう。
一度の質問で送信できる文字数は4,096トークンとされています。日本語の場合は2,000文字程度まで、英語の場合は4,000文字程度入力できるとされていますが、長文の質問だとエラーが起こりやすいため注意しましょう。

4.別の会話を始める

ChatGPTでは、過去に行った会話が記憶されます。別の会話を始める場合は、メニュー画面左にある「+New Chat」をクリックします。それぞれの会話のタイトルは自動生成されますが、鉛筆マークをクリックすると自由に編集することもできます。

5.会話を削除する

会話を削除する場合は、それぞれの会話のタイトルに右端にあるゴミ箱マークをクリックしてから、表示されるチェックマークをクリックします。すべての会話を一括削除する場合は、メニュー画面左にあるゴミ箱マークのついた「Clear conversations」をクリックします。

ChatGPTを論文執筆に活用する

ChatGPTはテーマやキーワードの理解を深めたり、集めたキーワードからパラグラフを作成したりするのに役立ちます。論文の執筆に関するさまざまなタスクをサポートするツールとして活用したり、リサーチや文献収集の効率化、文献レビューやアイデア出し、要約作成のサポートツールなどに活用できます。対話型インターフェースであることを活用し、ディスカッションやブレインストーミングなどに活用するのもよいでしょう。

一例として、論文の要約作成をサポートするツールとしての活用方法をご紹介します。
入力文字数に制限があり論文全体を読み込ませることはできないため、まずは論文の各セクションから重要なポイントを抽出します。それらをChatGPTに入力したうえで、「要約を作成」という指示を出します。生成する文字数の目安を指定することもできます。
生成されたテキストをそのまま要約として用いるのではなく、あらかじめ抽出した重要なポイントがすべて含まれているか、適切な表現になっているか、重複している部分はないかなどを必ず自分の目で確認しましょう。あくまで要約のたたき台を生成するのに用いて、最終的には必ず自分の表現で仕上げることが大切です。

このほかにも、スピーチ原稿のたたき台の作成や、ジャーナルの編集者へ送るメールの下書き、カバーレターのフォーマット作成など、論文に関わるさまざまなタスクにも役立てられます。

誤った情報や不正確な回答に注意しながら活用しよう

AIツールは完全ではないため、誤った情報や不正確な回答を表示する可能性もあるということを念頭におき、必ず情報の正確性を確かめるようにしましょう。また、指示(プロンプト)の出し方を工夫したり、表示された回答を精査したりすることで適切に活用することができます。論文執筆に活用する際は、倫理的な使い方を意識しながら、効率化やリサーチのサポートツールとして取り入れるのがおすすめです。

参考文献

ChatGPT公式サイト
OpenAI公式サイト
Science — ChatGPT is fun, but not an author
Nature ダイジェスト — ChatGPTと類似ツールの利用に関するNatureの基本原則
utelecon オンライン授業・Web会議ポータルサイト @ 東京大学 — 生成系AI(ChatGPT, BingAI, Bard, Midjourney, Stable Diffusion等)について

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