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「ラテン語はイタリック体」は昔のはなし?

「ラテン語はイタリック体で書くように」と指導された人は多いのではないでしょうか。代表例として、「その他」を意味する「et al.」や、「試験管内で」を意味する「in vitro」があります。ラテン語だけでなく、ジャーナル名や生物の学名、遺伝子名もしばしばイタリック体で表記します。

ところが最近では、従来イタリック体表記だったものが、徐々にローマン体(通常フォント)で表記するケースが増えています。主要ジャーナルではどうなっているのでしょうか。

ジャーナルによって表記ルールは異なる

『The Lancet』誌では、生物の学名と、参考文献に記載されるジャーナル名のみイタリック体です。et al.やin vitroなどのラテン語は、ローマン体で表記しています。『The New England Journal of Medicine』誌は、生物の学名のみイタリック体で、et al.やジャーナル名はローマン体表記です。

多くのジャーナルを出版するElsevier社では、イタリック体は読みにくいため使用を控えること、英語以外の言語はイタリック体にすべきだが、viaやet al.のように普及したものはイタリック体にしないこと、書名や学名はイタリック体を使用すること、と規定しています[1]。

これらを見ると、イタリック体表記は控えたようがいいように思えますが、異なる姿勢をもつジャーナルもあります。『PLOS ONE』誌では、et al.はローマン体表記しながら、in vitroはイタリック体表記にするなど、ラテン語でも表記を統一していません。

別ジャーナルに投稿するときはイタリック体表記も見直すべき

イタリック体にすべきかどうかは、ジャーナルによって見解が異なっています。ジャーナルの中には、投稿規定で明確に定めている場合があるため、投稿先のジャーナルごとにイタリック体表記を使い分ける必要があります。特に、あるジャーナルにリジェクトされたため、別のジャーナルに投稿するときには、イタリック体表記も見直さなければいけません。

イタリック体表記については、明確に規定するジャーナルもあれば、特に明示していないジャーナルもあります。直近に出版された論文を見て、イタリック体表記するものとしないものを見極めることが大切です。

[1] Elsevier Publishing Guidelines: House Style

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