英語論文を書くときのフォント選び ― 意外と見落としがちな注意点
英語論文や海外向けの文章を作成する際、「内容」だけでなく「フォント」にも気を配ることが大切です。フォントの選び方を誤ると、文字化けが発生したり、相手に読みにくい印象を与えてしまったりすることがあります。ここでは、特に日本語環境で作業する方が陥りやすい落とし穴と、適切な英語フォントの選び方をご紹介します。
日本語フォントは使わないでください
日本語フォント(MS明朝、MSゴシックなど)は、日本語環境のPCには標準搭載されていますが、海外の研究者が使用するPCにはインストールされていないことがほとんどです。そのため、日本語フォントで作成された英語論文や図表は、相手の環境で文字化けを起こす可能性があります。
また、日本語IMEと英語IMEを切り替えて作業していると、無意識のうちに日本語フォントが混在してしまうこともあります。「フォントを意識しないミス」が起こりやすいので、常に英語フォントを使用しているか確認しましょう。
特に注意
• **明朝体(Mincho)**などは文字幅が均一で、英語表記には不向きです。
• **P明朝(プロポーショナル明朝)**であっても、そもそも英語用のフォントではないため、英語論文には使用しないでください。
セリフ体とサンセリフ体の使い分け
英語フォントには大きく分けて「セリフ体(serif)」と「サンセリフ体(sans serif)」の2種類があります。それぞれ用途に応じて使い分けましょう。
セリフ体(Serif)
文字の端に小さな飾りがついているフォントです。
例:Times New Roman, Century
→ 論文本文に最もよく使われます。
サンセリフ体(Sans Serif)
装飾のないすっきりとしたフォントで、縦横の線の幅が均一です。
例:Arial, Helvetica
→ **プレゼンテーションスライドや図表(Figure)**に適しています。
特殊文字や記号も英語フォントで統一を
英語論文では、**ギリシャ文字(α, βなど)や記号(%, :, ;, “ ” など)**が混在することが多いため、フォントの統一に特に注意が必要です。
よくあるミス
• 日本語フォントで入力したギリシャ文字や記号は、英語フォントに変換しても文字自体は変わらないことがあります。
• 例えば、MS明朝で入力した「α」を選択してTimes New Romanに変更しても、見た目は変わらず、中身は日本語フォントのままです。
対処法
• Wordの【挿入】>【記号と特殊文字】から入力した場合は、そのとき設定されている英語フォントで直接入力されるので安心です。
• コピーペーストした記号や数字も、元のフォントが何かを確認しましょう。
フォントとサイズの統一を最終確認
英語論文では、**通常11〜12ポイントの英語フォント(Times New Romanなど)**が推奨されています。
最後に確認すべきこと
• フォントの種類やサイズが途中で変わっていないか
• コピーペーストした文に、他のフォントが混ざっていないか
「そんなミスはしない」と思っていても、他の資料やウェブページから貼り付けたときに、意図せず混在しているケースは多く見られます。最終チェックで「文字属性の統一」ができているか、必ず確認しましょう。
まとめ
英語論文の読みやすさ、見やすさは「フォント選び」によって大きく左右されます。
相手の環境でも正しく表示され、ストレスなく読んでもらえるよう、常に英語フォントを意識して文書を作成しましょう。