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医学論文の書き方マニュアル-34:“longer overall survival”と“higher overall survival”の違い

医学論文において「全生存期間(overall survival)」を表現する際、形容詞として “longer” を使うべきか “higher” を使うべきか、迷ったことはありませんか?
実はこの2つの表現は、焦点の置き方によって使い分けが必要です。

ポイントは、「期間」か「割合」か。
“longer” は生存期間の長さを、
“higher” は**生存率(一定期間後の生存者の割合)**を表します。

1. 「生存期間の長さ」を表す場合

Longer overall survival
患者がある治療や診断の後にどれだけ長く生存したかを示す表現です。たとえば、治療Aを受けた患者が平均5年、治療Bでは3年生存した場合、Aのほうが “longer overall survival” となります。

例文
“Patients who received treatment A had a longer overall survival compared to those who received treatment B.”
(治療Aを受けた患者は、治療Bを受けた患者よりも全生存期間が長かった)

2. 「生存率・割合」を表す場合

Higher overall survival
特定の時点(たとえば5年後)において、どのくらいの割合の患者が生存していたかを表す表現です。統計的な「生存率」と捉えると分かりやすいでしょう。

例文
“Treatment A resulted in a higher overall survival rate at 5 years compared to treatment B.”
(治療Aでは、5年後の全生存率が治療Bよりも高かった)

3. 反対の表現もチェック

• “shorter overall survival” → 全生存期間が短い
• “lower overall survival” → 全生存率が低い

Coffee Break

野球のオールスターゲームの季節で、高校野球も始まります。野球は日本でも人気のスポーツですが、実は日本で使われている野球用語の中には、英語圏では通じない「和製英語」もたくさんあります。

たとえば、ポジション名に注目すると…

日本での呼び方 英語表現
ショート Shortstop
サード Tthird baseman
レフト Left fielder
英語ではポジション名に “fielder” をつける

また、日本では「サウスポー(southpaw)」という言葉が広く使われていますが、実は英語圏ではこの表現はあまり一般的ではなく、単に left-hander や left-handed という言葉を使うことが多くなっています。
さらに、日本独自の野球用語には、
• フォアボール(Four ball) → Walk(英語では「ウォーク」と呼ぶ)
• デッドボール(Dead ball) → Hit by pitch (HBP)(「デッドボール」は英語では別の意味)
• ナイター(Nighter) → Night game(「ナイター」は和製英語)
など、英語では違う言い方をするものもあります。

和製英語と本来の英語表現の違いを知ると、英語での野球中継や記事もより楽しめます。気になる方は、ぜひアメリカのメジャーリーグの放送をチェックしてみてください!

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