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オープンアクセスの最新の状況

オープンアクセス(OA)の最新の状況について、文部科学省と英国大学協会(UUK)からデータが公開されました。それぞれのデータを読み解くと、今後もOAの流れが続くことがうかがえます。

日本ではOAジャーナル論文数は増加中

文部科学省の科学技術・学術審議会に設置された学術分科会で、2017年10月31日に第9期研究費部会(第4回)が開催され、『平成29年度科学研究費助成事業の配分について』の中にOAジャーナル論文数の推移が掲載されています。

これによると、2013年において日本人が執筆したOAジャーナル論文数は約1万1000報であり、5年前のおよそ2倍でした。また、2011年から2013年の平均ではOAジャーナル論文数の科研費関与割合が51.7%と、半分を超えていました。被引用数トップ10%の論文に限定すると、2013年の論文数は約900報と5年前のおよそ3倍、2011年から2013年の平均では科研費関与割合が62.1%でした。科研費が関わる研究成果もOAで発表することが明らかに増えていることを示しています。

この部会の中では「OA化しているとアクセスされやすい」という意見が出ました。これについては、UUKが公開した『Monitoring the transition to open access: December 2017』という報告書にも記載があります。この報告書には、2016年5月から2017年4月の1年間で大手出版社から出版された論文のダウンロード数がまとめられており、非OAの論文と比較して、ハイブリッドジャーナル(購読料モデルのジャーナルだが筆者が追加料金を支払うことでOA化できるジャーナル)のOA論文のダウンロード数は3倍以上、完全OAジャーナルの論文は2倍以上だったということです。

OA化の流れは海外でも

UUKの報告書によると、英国人が執筆した論文のうち出版と同時にOA化されたのは、2014年の20%から2016年には37%に増加しました(ここでいうOAとは、査読済みで出版社から入手できるゴールドOAと、機関レポジトリなどから入手できるグリーンOAの両方を含む)。また、出版から1年以内にOA化された論文は、2014年には32%だったのが2016年には54%に増加しました。

調査範囲を世界に広げると、2016年に出版と同時にOA化された論文は24%と集計されています。OAの割合はまだ低いもの、急速にシェアを伸ばしていることは事実です。この流れはしばらく続くと見られます。

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