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信頼できるオープンアクセスジャーナルを見抜く

オープンアクセスジャーナルは信頼できるのか

オープンアクセスジャーナル(OAJ: open access journal)の特徴は、論文著者が掲載料を支払うことです。そのため、「なるべく多くの論文を掲載したい」というのが出版社側の意向です。論文著者にとっては、通常のジャーナルよりも論文採択率が高いというメリットがありますが、「十分に査読しないまま掲載しているのではないか」という疑念が付きまといます。

この疑念について、アメリカ科学誌『Science』に興味深い記事が掲載されました。OAJにデタラメな論文を投稿したら採択されるか、という大胆な検証実験です。

半分以上のOAJに不審点があった

実験で使った論文は、ある化合物に抗がん作用が見つかったというものです。しかし、高校生以上の化学の知識とグラフの読解力があれば、実験データが論文の主旨と真逆になっていることがすぐに見抜けられるようになっています。さらに、文章はインターネット上の自動翻訳サービスで作り、著者名と所属機関も偽名にするなど、明らかに不自然な論文としています。

これを304のOAJに投稿したところ、およそ半分のジャーナルが受理し、査読した形跡すらなかったところも多くありました。また、ジャーナル出版社の所在地とは全く違う国からメールが送信されていたり、掲載料の振込先となる銀行口座も異なる国に設置されていたりと、運営側にも不審な点が見つかりました。このような不審なジャーナルに掲載された論文は、本当に信頼できる研究成果なのか、誰も保証できないと言わざるをえません。

信頼できるジャーナルを見極める

この検証結果を見ると、OAJは信頼できない、と思われるかもしれません。しかし、全てのOAJが信頼できないわけではありません。不自然な論文であることを即座に見抜き、掲載拒否を命じたOAJでは、編集部チェックや査読が機能していると言えます。また、質の高い論文を多く掲載し、比較的高いインパクトファクターをもつOAJもあります。例えば、Natureグループが刊行する『Scientific Reports』の2014年のインパクトファクターは5.1、OAJとして有名な『PLOS ONE』は3.5と、紙媒体の他誌と比べても、遜色ありません。

つまり大切なのは、OAJであろうとなかろうと、信頼できるジャーナルを見抜くことです。出版社の住所や連絡先を明記している、掲載料や審査基準、投稿規定、倫理規定等のポリシーを明示している、実際の掲載論文が高品質である、インパクトファクターが一定の水準に達している、といったことの確認が必要です。

OAJは、従来よりも幅広い読者層に向けて研究成果を発表できる場として注目されています。研究成果を広く共有することは、本来の科学において必要不可欠なことです。OAJを毛嫌いするのではなく、それぞれジャーナルの性質や信頼性を見極めたうえで、うまく活用していくべきでしょう。

Reference(Science誌による検証実験)

Bohannon J (2013) Who’s Afraid of Peer Review? Science 342 (6154): pp. 60-65

http://www.sciencemag.org/content/342/6154/60.full