2017年のインパクトファクターを読み解く
6月26日(米国時間)に2017年のインパクトファクターがクラリベイト・アナリティクス社より発表されました。今年も医学ジャーナルを中心に、インパクトファクターの動向を考察します。
世界五大医学ジャーナルとCNSは健在
一般に「世界五大医学ジャーナル」と呼ばれるジャーナルのインパクトファクターは以下のとおりです(かっこ内は昨年の数値)。
The New England Journal of Medicine: 79.3 (72.4)
The Lancet: 53.3 (47.8)
Journal of American Medical Association: 47.7 (44.4)
British Medical Journal (BMJ): 23.3 (20.7)
Annals of Internal Medicine: 19.4 (17.1)
『The Lancet』が50を超えたのをはじめ、どのジャーナルも順当に数値を伸ばしました。『The New England Journal of Medicine』は来年には80を超えようかとする勢いで、同ジャーナルへの一極集中の流れは止まりそうにありません。
また、生物学ではCNSとして知られている3ジャーナルは以下のようになりました。
Nature: 41.6 (40.1)
Science 41.1 (37.2)
Cell: 31.4 (30.5)
こちらも『Science』が40超えを果たしたのを中心に数値が伸びました。古参ジャーナルのブランド力は健在といったところです。
オープンアクセスジャーナルのインパクトファクター
次に、主なオープンアクセスジャーナルを見てみましょう。
Nature Communications: 12.4 (12.1)
Science Advances: 11.5 (昨年まで計算対象外)
PLOS Medicine: 11.7 (11.9)
Scientific Reports: 4.1 (4.3)
『Nature Communications』はわずかに数値が上昇。『Science Advances』は『Science』と同じくアメリカ科学振興協会(AAAS)が発行するジャーナルで、2015年に創刊されたため今年から計算対象となり、『Nature Communications』に近い数値となりました。掲載料(APC)は『Nature Communications』が5300ドル、『Science Advances』が5200ドル(CC BYライセンスの場合)と高額ですが、それを支払う余裕のある比較的規模の大きい研究機関の成果と考えれば、引用されやすい質を保っていると見なすことができそうです。
インパクトファクター操作への警鐘も
クラリベイト・アナリティクス社のプレスリリースによると、一部のジャーナルでインパクトファクターの意図的な操作が目的と思われる不自然な引用(過度の自誌引用、特定のジャーナル同士の相互引用)が認められました。これらのジャーナルに対しては、データベースである「Web of Science」から削除することも検討しているとのことです。