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論文再投稿の基本 -雑誌の規定に従い再投稿を-

学術雑誌への論文原稿投稿後、査読員たちへの対応が全て終われば、いよいよ再投稿の準備に取り掛かることとなります。その際にも、色々と気を付けなければならない点がありますので、今回はそれらの点について解説します。

再投稿の際に何を提出すべきかをよく確認すること

学術雑誌によって、論文原稿の再投稿の際に何を提出する必要があるのかに関する指示が異なっていることが多いですので、再投稿の際には、何を準備したらよいのかをきちんと把握し準備しましょう。

例えば、査読員からのコメントにどのように対応したのかが分かるような表を作成して送ることが、義務付けられている場合もあります。ある雑誌では「修正対照表」を作成することを求めており、形式も決まっていて、「3 列に分け、第 1 列に参照用の番号、第 2 列に修正前の内容・箇所、第 3 列に修正後の内容・箇所を記入して下さい」と指示されています。

実際に変更を加えた部分を赤字で表記せよ、と指示されることもありますので、指示に従って提出物を用意してください。

再投稿用の最終版原稿を準備しよう

<変更箇所が分かるような原稿を準備しよう>
再投稿用の原稿を作成する際は、投稿先の雑誌の指示に従い、必要に応じては変更箇所が一目で分かるように、変更を加えた部分をハイライトや赤字などで表示するようにしましょう。その場合は、Microsoft Wordの変更履歴機能を利用すると便利だと思います。

執筆者にとっても、変更履歴を残した原稿を保管しておけば、論文原稿がどういった過程を経て修正されたのかを、今後検証したりする時に大いに役に立つと思います。

<最終版作成の際の注意すべき点>
原則として、論文掲載後は原稿の修正などができなくなります。ですので、最終版を提出する際には、細心の注意を払い、細かい所でミスや矛盾点などが生じないように気を付けましょう。例えば、修正する際にスペルミスや文法の間違いが生じなかったどうかを、徹底的にチェックする必要があります。

この際は、必要に応じてネイティブスピーカーに依頼し、再確認してもらうことをお奨めします。また、修正の際に参考文献を追加あるいは削除した場合は、本文中の参考文献に関する説明と、参考文献リスト中の文献番号(あるいは記号)とが、きちんと一致しているかどうかを再確認する必要があります。図表に関しても注意が必要で、図表を追加または削除した後で本文中の説明と図表の番号などがずれていないかどうかなども、慎重にチェックすることが必要です。さらに、原稿全体の修正後に、結果を表す数値や文章などがアブストラクトの記述内容と矛盾していないかどうかも必ず確認しましょう。

査読者のコメントに対する回答書を作成しましょう

論文の修正事項を説明する時に使える英文を紹介します。

まずは、前置きとして下記のような文章を入れます。
Thank you for your suggestion.
Thank you for providing these insights.
指摘されたCommentsをコピーしてその下にResponseを書きます。
(時々、Answerとしている著者がいますが、Responseとしてください)
まず、次のような同意の文章を書いて
We agree with you.
We agree that…
We have incorporated your comments by…
修正箇所が明らかになるようにします。
We have revised the text to reflect…(p.xx, lines xx-xx).
We have replaced the term [X] with [Y].
日本人の丁寧さで全てのコメントの下にThank you for your suggestion.を入れる著者もいらっしゃいますが、これは必要ありません。

なお、査読者のコメントや指摘に同意できない場合でも、丁寧に回答してください。we completely disagree.などの感情的な表現は入れないで、Evidenceを添えて理由を解説してください。

論文の原稿のアクセプトまであと間近、という段階に迫ったところで些細なミスなどを犯してしまうと、雑誌編集部とのやり取りが無駄に多くなってしまうことになりますので、そのようなことの無いように、最終確認を行うようにしましょう。

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