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ジャーナルのCorrespondenceへの掲載可否決定にバイアスはあるのか

ジャーナルには「Correspondence」などと呼ばれるコーナーがあります(ジャーナルによって名称は異なりますが、本記事では断りがない限り、多く使われる「Correspondence」とします)。Correspondenceに投稿された原稿は、ほとんどは編集部のみで査読され、掲載するかどうかが決定されます。このとき、著者が有名かどうかで、掲載へのバイアスがかかるということはないのでしょうか。

通常の学術論文より少ない人数で評価される

Correspondenceの多くは、英語で数百単語程度の文章から構成され、簡易的な研究の報告や、直近に掲載された論文へのコメントを行う場として使われています。ジャーナルによって、Correspondenceの呼び名や規定は異なります。

例えば、The Lance、NEJM、Circulationなどは「Correspondence」という名称で、オリジナル記事は400単語程度、掲載論文へのコメントであれば250単語以内、いずれも図表は1点以下と規定しています。一方、British Medical Journalは「Letters」という名称で、掲載論文へのコメントのみを扱い、1000単語以内としています。また、The Journal of the American Medical Associationでは「Letter to the Editor」として、掲載論文へのコメントを400単語以内で紹介します。

Correspondenceでは、一般の学術論文のような外部査読は行われず、編集部のみが査読をします。査読のときには、著者の氏名や所属先などが明示されます。通常の学術論文より少ない人数で評価するため、著者の肩書きや著名度などによるバイアスがより生じやすいのではないか、という意見があります。

真の結論にはジャーナル側の情報公開が必要

『Nature』誌に掲載された記事では、2014年の『Nature』誌と『Science』誌の通信欄(それぞれ「Correspondence」と「Letters」という名称)に掲載された239報について、著者の所属大学とh指標(*1)を独自に組み合わせて評価しました。所属大学が肩書き、h指標が研究分野における著名度に該当します。評価の結果、通信欄の掲載数と、肩書き・著名度に有意差はなかったということです。

これに対して、掲載拒否された原稿も含めて検証することが、真の結論には必要だというコメントが寄せられています。掲載拒否された原稿に関する情報はジャーナル内部でしか知り得ないため、これらの情報の開示が必要であるとも述べています。

今回は『Nature』誌と『Science』誌に掲載された通信欄に限った検証ですが、他のジャーナルにおいても同様の結論が得られるのか、注目すべきテーマと言えます。

(*1)h指標
被引用回数がh回以上である論文がh報以上あることを示す数値。研究者の論文の量(発表数)と論文の質(被引用回数)を同時に評価できると言われている。

参考資料
Mahian O (2015) Corresponding authors: Is there fame bias in editorial choice? Nature 519 (7544) : p. 414.