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ネイチャーインデックスによる世界トップレベルの研究成果評価

ある国あるいは研究機関において、一体どんな分野の研究が世界的にトップクラスになっているのかについて簡単に調べるために、ネイチャーインデックス(Nature Index)というデータベースが近年よく用いられるようになっています。今回はネイチャーインデックスの示す昨今の研究成果の動向について考察したいと思います。

世界トップクラスの研究成果データベースNature Index

ネイチャーインデックス(Nature Index)は、世界トップクラスの研究成果を国・機関別にプロファイリングするデータベースです。第一線で活躍している現役研究者が選んだ、高品質な科学ジャーナル82誌に掲載された原著論文を収録しています。直近12か月のデータのスナップショットを公開している natureindex.com では、国や研究機関の論文出版数はもちろんのこと、論文に対する研究機関の貢献度を示す分数カウント、国際・国内共同研究の比率や、その共同研究実施機関が一覧できます。

各収録論文のページでは、論文の書誌事項に加えて、その論文の社会的インパクトを測る Altmetric も確認できます。全世界の人々に、無料で使えるようになっている便利なデータベースなのです。

研究機関別の近年の動向

ネイチャーインデックスに登録されている今年のNature Index Annual Tablesにおける研究機関のデータを見ると、従来に引き続き、大規模で有名な研究機関があらゆる研究分野において、世界トップクラスを占めているという状況には大きな変化がありませんでした。今年においては、中国科学院(CAS)、米国ハーバード大学、ドイツ・マックスプランク協会などといった大規模研究機関が占めていました。一方で、研究機関としては規模が小さいものの、近年研究面において世界的評価が高まりつつある研究機関が頭角を現し始めているという傾向も見られていました。

例えば、中国科学技術大学(USTC)は、これまでに無いほどのハイレベルな論文を発表し続けており、世界的な評価が大幅に上がっているという興味深い傾向が見られました。さらに、2015〜2019年の間の、高品質論文の発表における研究機関の成長度について見ると、中国科学院大学(UCAS)のシェアが242%も増加していることが明らかになっています。このことから、UCASもまたこの数年の間に研究成果において目まぐるしい成長を果たしたといえます。

国別の動向と研究成果評価の課題

2020年のNature Index Annual Tablesによると、世界的にトップクラスの研究成果の量を見ると、1位が米国で、2位以下が順に中国、ドイツ、英国となっており、我が国である日本は5位となっていました。2015年以降、その順位に変動は見られていませんでした。国内の研究機関では、東京大学と京都大学が50位以内にランキングしていました。やはり、中国の伸び、とりわけ首位との差の詰め方が顕著である傾向も見られていました。

ネイチャーインデックスというデータベースを参考にする際に注意しなければならない点は、このデータベースが実際に発表された学術論文のみに基づいて作られたものであるという点です。なので、すでに論文になって公表されている研究のみしか評価の対象にはなっておらず、現在進行中の研究(論文未発表のもの)については反映されていません。もちろん、学会発表の段階で止まっている研究成果についても、評価の対象にはなっていないのです。そのため、ネイチャーインデックスだけでその研究機関の研究内容・研究レベルの全てを推測することは不可能であり、そこまで調べるにはさらに詳しい資料や研究概要などと併せて評価することが必要です。ネイチャーインデックスというものは、あくまでも世界的トップレベルにある研究成果(学術論文)がいかほど存在するのかを調べるための目安の一つなのだということを、きちんと認識し理解するようにしましょう。

参考文献

Nature Index
高品質な自然科学研究を生み出す機関や国・地域を示すNature Index Annual Tables

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※価格は税抜き表記になります