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サイテーションインデックス(Citation Index)とは|歴史、データベースなど

サイテーションインデックスとは、研究者が論文という形でその成果を著すときの材料のひとつとして、またその成果がどのように他の研究者たちに影響を与えているのかなど、研究と研究のつながりを整理することができるものです。

これは「引用索引」と呼ばれ、文献で引用されている情報の索引のことをいいます。つまり、サイテーションインデックスで分かることは大きく2つあります。1つは文献が引用している文献、もう1つはその文献が引用されている文献ということになります。

サイテーションインデックスの歴史

サイテーションインデックスの開発は1950年代から活発になったとされています。当時、文献の急増によってテーマ索引の集約は質的にも量的にも時間的にも限界を迎えており、その解決策としてコンピュータによる自動化に期待が寄せられていました。

同じころ、索引の自動化に関する研究に携わっていたEugene Garfield氏は、書誌引用に大きく依存していた当時のジャーナル文献の総説に着目しました。こうした引用を捉えることで、参考や引用した情報源に基づいて、他の研究者が方法論やアイデアを裏付けるためにとったアプローチをすぐに知ることができるのではないかと考えたのです。

その後、Garfield氏はInstitute for Scientific Information(ISI)を設立し、いくつものプロジェクトで引用を索引付けするデータベースを作成し、その調査・分析を行いました。1964年にはScience Citation Index(SCI)を開発し、これが科学分野で最初のサイテーションインデックスとなりました。

こうして「引用をたどることで関連する研究や研究者にアクセスすることができる」ようになり、サイテーションインデックスと数多くのデータベースの開発が行われていきました。なおISIは、Thomson Reutersを経て、現在ではClarivate Analyticsによって運営され、学術データベースWeb of Scienceとして利用されています。

引用・被引用の関係とサイテーションインデックス

文献の引用・被引用の関係について、少し解説を加えておきましょう。学術論文における一般的な構成とは、題名、要旨、序論、研究方法、結果と考察、まとめ、参考文献 の形をとります。この時、文献データベースで確認できるのは、題名と要旨です。もちろんジャーナルによっては全体を確認することが可能ですが、前述のように、文献と文献とのつながりを確認するためには、参考文献の情報を持ったデータベースを確認することが必要です。

例えば、文献Xが文献A、B、Cを引用していたとして、文献Xは文献α、β、γに引用されていたとします。このとき、文献Xを見てもあくまでXが引用していたA、B、Cについてはわかりますが、α、β、γについては分かりません。このときに利用するのが、「被引用がわかるデータベース」です。

主なサイテーションインデックスのデータベース

サイテーションインデックスのデータベースには、さまざまなものあります。これらのデータベースにはそれぞれ収録コンテンツの範囲があり、その範囲を超えて調べることはできません。

世界最大級で広範な学術雑誌をカバーしているのが、Scopusです。その収録範囲は科学、医学、技術、人文科学、社会科学と、全分野で約25,000タイトルに及び、参考文献については1970年以降の論文が対象になっています。提供しているのは、Elsevierです。

次に厳選された主要な学術雑誌を収録範囲としているのが、Web of Scienceです。コアコレクションと呼ばれる分野ごとのデータベースを持ち、科学分野には「Science Citation Index Expanded(SCIE)」があり、世界で最も影響力のある178科学分野9,200以上のジャーナルが収録されています。先のとおり、この分野の基になったのがSCIです。1900年から現在までの記録数は5,300万件、引用文献では11億8,000万にのぼります。科学分野以外でも、社会科学分野のSocial Sciences Citation Index (SSCI)、芸術人文科学分野のArts & Humanities Citation Index (AHCI)、2015年に導入された、主要なジャーナルではなかったり、グローバルな発表の場ではなかったりしたものの、重要性が高い論文、評価が高いローカルな論文などを多分野で収録しているEmerging Sources Citation Index (ESCI)などがあります。

次に日本国内発行の雑誌を収録範囲としているのがCiNii Articlesです。こちらは国立情報学研究所が提供するデータベースで、日本語文献を対象としています。

また、引用を検索できると言う意味においては、Google Scholarでも広い範囲のデータ収集を行っていますが、非学術的な引用が多く含まれるケースも多く、コンテンツについての公表は成されていません。

これらのデータベースにはそれぞれ収録範囲も含め特徴がありますので、使い分け使い方の工夫が必要になりますが
●国内文献であればCiNii Articlesが調べやすい
●分野が絞られていて主要なところを押さえたいならWeb of Science
●より範囲を広げる時にScopusを利用する
という使い分けをしていくと、調べやすいのでないでしょうか。

参考文献

Clarivate Web of Science History of citation indexing
Internet Archive wayback machine times higher education 2017/2/28 Citation analytics pioneer Eugene Garfield dies, aged 91
九州大学附属図書館 IF/CIの調べ方 -Web of ScienceとJournal Citation Reportsを中心に-: はじめに
九州大学附属図書館 IF/CIの調べ方 -Web of ScienceとJournal Citation Reportsを中心に-: Citation Index
Elsevier Scopus
Clarivate Web of Science:Science Citation Index Expanded
Clarivate Web of Science Core Collection

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