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シュプリンガー・ネイチャー社が100万本を超えるOA論文を出版

大手学術出版社であるシュプリンガー・ネイチャー社が出版してきたゴールドオープンアクセス(OA)論文の数は、100万本を超えました。同社が2005年以降に発行したすべての記事のうち、25%がゴールドOA論文ということになります。ほかの出版社と比べてもその数は29%も多く、同社が学術論文のOA化を牽引してきたことがうかがえます。この100万本の論文について分析したプレスリリースから、要点をいくつかご紹介します。

世界各国から累計26億回ものダウンロード

シュプリンガー・ネイチャー社がOA出版した100万本の研究論文は、2016年以降、累計26億回もダウンロードされています。世界中のあらゆる場所からアクセスされており、果ては南極からもダウンロードされていました。なお、最も多く論文を利用している地域はアジアであり、ダウンロード数のうち34%を占めています。

ドイツのOA論文増加率は大きく躍進、日本も144%とOA論文が発展している

Google Analyticsをもとに算出したページビュー回数を見てみると、2021年時点におけるOA論文のページビュー回数が最も多い国はアメリカ合衆国で、25%を占めていました。続いてイギリス(8%)、インド(7%)、中国(5%)と続き、日本は3%で第8位でした。なお、ページビュー回数が多い上位10か国のほとんどが、2019年から2021年にかけてOA論文を出版している上位10か国に含まれています。

具体的には、2021年までに最も多くOA論文を出版しているのは、アメリカ合衆国と中国でいずれも15%。続いてイギリス(7%)、ドイツ(7%)、日本(5%)となっています。特に、ドイツについては2019年から2021年にかけてOA論文の増加率が著しく高く、255%でした。ちなみに、同じ時期の日本におけるOA論文の増加率は144%であり、平均で年間6,255本ものOA論文が出版されていることになります。

医学分野が約半数を占めるが、社会科学分野と人文科学分野のOAシェアが倍増

分野別にみると、シュプリンガー・ネイチャー社がOA出版した100万本の論文のうち、医学分野が44%と半数近くを占めています。その一方で、社会科学分野および人文科学分野も絶対数は少ないものの、2015年から2020年にかけて倍増しており、ほかの分野と比べても伸びているといえます。

特筆すべき分野としては、持続可能な開発目標(SDGs)に関する論文が挙げられます。SDGsに関する論文は、非OAコンテンツに比べて67%も多くOAコンテンツとして出版されています。

シュプリンガー・ネイチャー社はこれからもOA化を推進していく

20年以上にわたってOA化に取り組んできたシュプリンガー・ネイチャー社は、科学研究のさらなる発展と、研究成果に即時にアクセスできるオープンサイエンスの実現を目指しています。2015年から始まったSpringer Compact契約、さらにはOA環境を国レベルで持続的かつ効率的に運用するための転換契約(TA)など、シュプリンガー・ネイチャー社はこれからも積極的に学術論文のOA化を推進し続けていくことでしょう。

参考文献

[プレスリリース] シュプリンガー・ネイチャー、100万本のオープンアクセス論文を出版し、大きな節目を迎える
Springer Nature — Press Releases — Major milestone reached as Springer Nature publishes one million Open Access articles
Springer Nature社が出版したオープンアクセス論文が100万件を突破

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