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レイサマリーとは一般人向けに簡潔にまとめた論文の要約

レイサマリー(lay summary)とは、専門用語や難しい表現を使わず論文の要点を簡潔にまとめた要約のことです。論文の概要をまとめた要旨(アブストラクト)とは異なり、研究者や専門家ではない一般の人々にも伝わるようかみくだいて書きます。研究の大まかな内容を多くの人に知ってもらったり、研究を支援する資金提供者にアプローチしたりするのに役立ちます。

レイサマリーは研究助成金の申請書類を書く際に役立つほか、学術ジャーナルが公開しているホームページなどに掲載されることもあります。使用先や掲載媒体によって求められるボリュームが異なりますが、概ね200~250ワード程度、長くても1000ワード以内で端的にまとめるよう求められることがほとんどです。

レイサマリーは研究や論文を広め、支援者とのコミュニケーションにも役立つ

レイサマリーは、研究成果や論文を幅広い読者に届けるために役立ちます。同じ分野の研究者に論文を知ってもらうことはもちろん、異なる分野の研究者や専門家ではない一般の人々にも自分の研究を知ってもらうきっかけになります。
多くのジャーナルでは、アクセプトした論文の著者に対してレイサマリーを書くよう求めています。論文出版後、自社ホームページなどにレイサマリーを掲載し、広く発信するためです。著者自身がレイサマリーを活用して研究に関する内容を発信するのもよいでしょう。多くの人に知られることで結果的に論文の引用回数が増え、研究自体が広く世の中に知られるようになれば、さらなる研究支援の可能性も広がると期待できます。

論文執筆後だけではなく、論文執筆前にレイサマリーが必要になる場合もあります。多くの研究は、さまざまな研究コミュニティが提供する助成金によって行われています。助成金の申請にあたっては申請書類を提出したりプレゼンテーションしたりすることがありますが、その際に研究の内容や方法、目標や社会的意義についてわかりやすく端的にまとめたレイサマリーが役立ちます。いわば、レイサマリーは研究資金を提供する支援者(納税者)とのコミュニケーション手段なのです。

レイサマリーを書くときの3つのポイント

最後に、レイサマリーを書くときに特に意識してほしいポイントを3つご紹介します。

1.文章をわかりやすくまとめるための基本的な要素をおさえる

研究者であれ一般人であれ、どんな読者にも理解しやすい文章で書きましょう。「5W1H」のうち、特に次の項目を意識することで端的にまとめることができます。

What(問題提起)=この研究を通して解決できる問題は何か
Why(理由)=なぜその問題を解決すべきなのか
How(方法)=どのようにして問題を解決するか
What(結論)=研究を通してどのような結果が得られるか
Who(対象)=この研究の成果は誰にとって役立つか

2.専門用語を使わず、平易な表現で簡潔にまとめる

レイサマリーを書く際は、専門用語は使わず、難しい言葉もできるだけ平易な表現に置き換えます。客観性を重視した論文を書き慣れている研究者にとっては、固い文体や学術的な表現の方が書きやすいかもしれませんが、レイサマリーを読むのは専門知識がなく論文にもなじみのない一般の人々です。専門用語を避けるほか、受動態を能動態に変える、主語を一人称にする、具体的な事例を挙げるなどの工夫も必要です。ただし、注目を引く目的で誇張した表現や過剰な表現を盛り込むことは避けましょう。

3.友人や家族など一般人目線でのフィードバックをもらう

レイサマリーを書き上げたら、提出前に他の研究者や同僚に読んでもらうのはもちろん、友人や家族など研究になじみのない人々にも目を通してもらうのがおすすめです。難しい用語や読みにくい表現を指摘してもらい、一般人目線のフィードバックを反映できれば、よりわかりやすいレイサマリーに仕上げることができます。

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