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文部科学省科学技術・学術政策研究所(NISTEP)による「研究データ公開と研究データ管理に関する実態調査2022」の概要

文部科学省科学技術・学術政策研究所(NISTEP)は、2016年より2年に1度、日本の研究者における研究データの入手・公開・管理の状況や認識を明らかにするためのオンライン調査を実施しています。今回は、2022年10月から11月にかけて科学技術専門家ネットワークを活用したアンケートが行われ、1,237名より回答を得ました。なお、研究データの入手や公開の実践状況については、そのうち現在研究活動に従事している1,159名の回答を分析しています。本調査の結果について、概要をご紹介します。

研究データの提供機会や公開データの入手経験については大きな変化はなし

まず、共同研究などの場合を除いて他の研究者に研究データを提供する機会については、回答者の約4割が「よくある」または「たまにある」と回答しました。この結果は、初回の2016年調査から今回の調査にかけて大きな変化は見られませんでした。

また、公開されているオープンデータを入手した経験があるかどうかについても、2016年調査から今回の調査にかけて大きな変化はありませんでした。過去3回の調査では緩やかな減少傾向にあったものの、前回からは1.3ポイント増加しており、2022年調査では回答者の約7割が公開データの入手経験が「ある」と回答しています。

なお、公開データの入手方法としては、「論文の補足資料」が最も多く64.2%で、次いで「学術機関のリポジトリ」が60.1%、「個人や研究室のウェブサイト」が52.6%となっています。この上位3項目については過去4回の調査から変動はありませんが、個人や研究室のウェブサイトが減少傾向にある一方で、論文の補足資料と学術機関のリポジトリは増加傾向にあることもわかっています。

公開データを入手した経験がある回答者のうち62.9%が、データ入手において何らかの障壁があると回答しています。2020年調査では3割近くにまで減少していましたが、今回調査で約2倍近くに増えた結果です。具体的にどのような問題があるかを尋ねた質問では、「データごとにフォーマットが異なる」が44.8%と最も多くなっており、収集したデータ管理や活用の難しさが浮き彫りとなっています。次いで、「利用条件がよくわからない」が42.1%、「著作者情報がよくわからない」が38.8%となっており、公開データを広く活用するためには利用条件や著作者情報を明確にする必要があることがうかがえます。また、公開データの入手の課題として「利用料金が必要」と回答した人は、初回の2016年調査では最も多かったものの、以降の調査では減少し、2022年調査では24.3%にとどまっています。

DMP(データマネジメントプラン)について

2018年の調査から、DMP(データマネジメントプラン)の作成経験に関する質問が行われています。DMP作成経験がある研究者は、2018年では18.7%、2020年には20.8%でしたが、2022年の調査では28.6%と大きく増加しました。

作成したDMPの種類としては、科学技術振興機構(JST)による助成研究のDMPが最も多く44.4%で、2018年(26.1%)、2020年(35.6%)と比べて大きく伸びていることがわかります。一方、所属機関のDMPや、個人や研究グループのためのDMPは減少しています。

なお、Springer NatureとFigshareがまとめている年次報告「The State of Open Data」の2022年版によると、助成機関によるDMPの要求がデータ共有の主たる動機となっているとのことです。日本においても、助成機関がDMP作成を要求することによって、研究データの公開が推進されると考えられます。

データ公開に対する評価は研究者と所属機関で大きく異なる結果に

今回の調査で新たに追加された、研究データを公開することに対する評価ついての質問では、研究者と所属機関の認識に大きな差がありました。

他の研究者がデータを公開していることを評価しているかを尋ねた質問では、「評価している」「ある程度評価している」と回答した研究者が約8割と、研究者自身はデータ公開を成果として評価していることがわかりました。その一方で、自身が所属している機関がデータ公開を業績として評価しているかどうかを尋ねた質問では、「評価していると思う」「ある程度評価していると思う」を合わせてもわずか15.8%にとどまっています。企業連携をふまえて研究データの公開を控える、データの有償利用から得られる利益を優先しているなどの記述回答もあり、研究者と所属機関ではデータ公開についての評価が分かれる結果となりました。

参考文献

文部科学省 科学技術・学術政策研究所ライブラリ — 研究データ公開と研究データ管理に関する実態調査2022:日本におけるオープンサイエンスの現状
文部科学省 科学技術・学術政策研究所ライブラリ — 「研究データ公開と研究データ管理に関する実態調査2022:日本におけるオープンサイエンスの現状[調査資料-335]」を公開しました(12/20)
Digital Science Report — The State of Open Data 2022

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