ハゲタカ学会の目的と対策
適切な査読をせず、論文の掲載料を搾取する「ハゲタカジャーナル」や「ハゲタカ出版社」を警戒する動きが強まっていますが、最近では「ハゲタカ学会」なるものも登場しています。ハゲタカ学会とは何でしょうか。ハゲタカ学会の餌食にならないためにはどうすればよいのでしょうか。
ハゲタカ学会の目的は学術集会の参加費
ハゲタカジャーナルの目的が高額な論文投稿費なら、ハゲタカ学会の目的は高額な学術集会の参加費です。著明な研究者が基調講演を行うと謳っておきながら直前になって中止したり、さらには学術集会そのものを中止したりします(そもそも最初から開催する気がない)。中止になっても、事前に支払った参加費の返金には応じずに雲隠れするのが、ハゲタカ学会の常套手段です。
また、仮に開催されたとしても、参加者はまばらで、通常の学術集会にあるような活発な議論は行われず、無駄に時間とお金を消費するだけです。
以上の話はハゲタカ学会が悪意をもって行っていることですが、参加者の中にはハゲタカ学会を利用する研究者が存在する可能性があります。学術集会に出席して学会賞を受賞したり、ハゲタカ学会が出版するハゲタカジャーナルに論文を掲載したりすることで業績稼ぎをするのかもしれません。当然、ハゲタカ学会の実体が知られたら、これらの実績は信頼できるものではないとして、研究者本人の信用にも関わります。
ハゲタカ学会対策のチェックリスト
では、ハゲタカ学会の餌食にならないためにはどうすればよいのでしょうか。
ハゲタカジャーナルにだまされないためのチェックリストがあるWebサイト「Think. Check. Submit.」のように、ハゲタカ学会にだまされないためのチェックリストもあります。それが「Think. Check. Attend.」というWebサイトです。
このWebサイトは、出版サービスなどを手がけるKnowledge Eが提供するものです。「Think(検討)」、「Check(確認)」、「Attend(出席)」の3つに分かれており、特にCheckのページにあるチェックリストは、ハゲタカ学会が主催する学術集会かどうかの判断材料となります。
ハゲタカジャーナルやハゲタカ出版社と同様、ハゲタカ学会に対しても警戒を強める必要がありそうです。
ハゲタカ学会の現状
ハゲタカ学会が公式な学会よりも多いという報告もあります。
Predatory conferences ‘now outnumber official scholarly events’
These conferences often obtain money from researchers and may consist of hundreds of conferences organized at once. BIT Life Sciences is a known organizer of predatory conferences and sends emails to academics from various fields all at once.
ハゲタカ学会関連の記事
岡田良徳教授退職記念号には下記の記事があるそうです(残念ながら、ネットでは閲覧できません)
ハゲタカ学会 : ハゲタカ学会とは何か,その特定方法
Predatory Conferences : What are they and how to identify them
参考サイトはこちら