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研究者が守るべき出版倫理

論文を書き、ジャーナルに投稿する際には、守るべき「出版倫理」があります。今回は、代表的な4項目「研究不正」「利益相反」「オーサーシップ」「二重投稿」について解説します。

研究不正

よく問題に挙げられる研究不正は「捏造」「改ざん」「剽窃」です。捏造は、存在しないデータを作り上げること。改ざんは、データの一部または全てを加工することです。例えば捏造は、別の実験結果の画像を掲載することです。改ざんの例には、電気泳動の写真の一部だけを別の実験の電気映像の写真をコピーして貼り付けることが挙げられます。最後の剽窃とは、適切な引用ルールを無視して過去の論文を盗用することです。引用元の記載なしに文章をコピーアンドペーストすることが剽窃の典型例です。

利益相反

利益相反(COI)とは、研究活動によって自身の利益につながり得ることを指します。自身が共同研究先の企業の顧問に就任している、企業からの寄付金を元にその企業の製品に関する研究を行う、などがあります。このような場合、COIを開示する必要があります。論文の読者は、COIがあることを前提に論文を読むことで、本当に中立的に研究が行われたか慎重に判断できます。

オーサーシップ

著者となるための条件として、一般的に「研究の着想、データの取得・分析・解釈に大きく貢献している」「論文を執筆するか改訂に協力している」「最終原稿の内容を全て承認している」の3つを全て満たす必要があります。例えば、個人的なつながりで試料を提供してもらった人、日常的に実験機器のメンテナンスをしている人、英語を校正したネイティブスピーカーなどは著者にできません(Acknowledgmentsに入れることは可能)。また、研究にほとんど関与していないにもかかわらず、権威づけのためにその研究分野の第一人者の名前を入れることは「ギフトオーサーシップ」として倫理違反と見なされる可能性があります。

二重投稿

執筆した論文を複数のジャーナルに同時に投稿することも、多くのジャーナルで禁止事項とされています。また、ほとんど同じ内容の研究について表現を変えただけの2本の論文を書いて投稿することも許容されていません(異なる疫学調査を元にしている、異なるアプローチで類似の結論に達した場合などは許容される場合があります)。なお、あるジャーナルに却下された論文を別のジャーナルに投稿することは可能ですが、却下された理由を元に論文を改善しなければ、いつまでも受理されないかもしれません。

投稿前にジャーナルの規定で確認しよう

これらの出版倫理問題は、ときには法的な問題を引き起こし、関係者に多大な迷惑をかけることになります。当然ながら、自身の経歴に傷を残すことにもなりかねません。出版倫理についてはほとんどのジャーナルで何らかの規定を設けているので、投稿前にジャーナルの規定を熟読すべきです。

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