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2019年版!科学・社会科学分野の世界最高峰研究者選出~高被引用論文著者リスト

クラリベイト・アナリティクスの事業部門「Web of Science Group」は、高被引用論文著者リスト2019年版を発表しました。このリストでは、世界で発表された論文の引用数を分析し、科学・社会科学分野で後続の研究に大きな影響をもたらすと考えられる科学者や社会科学者が選出されます。今年は約60か国から6216名が選出されました。
そこで今回は、今回の発表結果からわかる高被引用論文者の特徴を詳しく解説します。

「高被引用論文著者」の基準とは?

クラリベイト・アナリティクスは毎年、世界中で引用された論文の解析を行い、発表された全論文のうち引用された回数が上位1%に入る論文を複数発表している科学者・社会科学者を「高被引用論文著者」として選出しています。

高被引用論文著者は今後の研究に高い影響力を持つとされており、選出されることは研究者の名誉であると言えます。また、国別の選出者数を比較することで、研究の活発さを伺うことも可能です。

国別ではアメリカが最多!中国が急増

今回の選出者を国別で比較すると、高被引用論文著者が最も多かったのはアメリカで、全体の44%占めています。研究機関としてはハーバード大学、スタンフォード大学、カリフォルニア大学が多いのが特徴です。

また、近年では中国からの選出者が急増しているのが大きな特徴であり、昨年482名だった選出者が今回は636名にまで急増。イギリスを抜いて世界第二位に躍り出ました。その一方、イギリスやドイツ、オランダといったEU圏の選出者の減少が目立っています。 今回の結果でも、選出者の72%は上位5か国(アメリカ、中国、イギリス、ドイツ、オーストラリア)に集中しており、卓越した功績を挙げる優秀な研究者は一部の地域に集中していることがわかりました。

今年の選出者の特徴は?

今回の選出者は、今年ノーベル賞を受賞したグレッグ・セメンザ氏など23名のノーベル賞受賞者が含まれ、さらにWeb of Science Groupの引用分析でノーベル賞クラスの研究者と認められた引用栄誉賞受賞者が57名含まれています。彼らはノーベル賞受賞の可能性があると考えられ、今後の活躍が大いに期待される研究者です。

また、選出者のうち、3517名はWeb of Science Groupが定めた21の特定分野での功績に基づいて選出され、2492名は複数分野を合わせた功績によって選出されました。複数分野にわたって幅広い功績を残している研究者を選出するのは昨年から始まった試みです。

そして、21の特定分野における選出者のうち、5%にあたる185名は2つの分野から選出され、今回は11名もの研究者が3つの分野で選出されています。これは非常に優れた功績であり、北米、ヨーロッパ、アジア、中東など地域を問わず世界中から選出されました。

科学・社会科学分野では、今後も特定の分野にとらわれず複数分野にわたって広く研究に従事する科学者が活躍することが期待されます。

参考文献

科学・社会科学分野における世界最高峰の研究者を選出した高被引用論文著者リスト2019年版発表

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※価格は税抜き表記になります